日本の中小企業のほとんどは、代表者またはその親族が株式すべてを保有し、会社を運営する経営者でありオーナーでもあります。
しかし、いわゆるオーナー社長のお子さんが後継者として社内におられるケースは年々少なくなっており「父親の会社は継がない」と明言しておられる現役世代の方も少なくありません。
このような状況で、病気や急逝により社長が経営をできなくなった場合、会社の運営が停止してしまいかねません。
特に、経営者の方が急逝された場合など、会社をどうするのかについて何の準備もない場合がしばしば見受けられます。
また、ご家族が会社を引き継がないつもりでも、代表者のご家族が亡くなった代表者を相続する場合、代表者の方が負っていた金融機関への連帯保証債務は承継することになるのが原則です。
そのため、ご家族の方は、相続により思いもかけない債務を承継する場合があり、本来であれば相続放棄をしておくべきであったといえる事案も少なくありません。さらに、相続放棄は相続を知ってから90日以内に行うのが原則とされており、葬儀や遺品の整理などのあわただしさを考えると、検討に使える時間はさほど長くはありません。
このように、経営者が病気で事業が続けられない、または急逝してしまった場合などは、会社をどのようにするかについても速やかに検討しなければなりませんし、例えば、主たる従業員の方に事業を引き継ぐなどの場合でも、事業が劣化してしまう前に速やかに行えば、連帯保証債務を引き継がなくて済む場合もあります。
ですから、経営者の方が病気や他界し、事業が続けられない場合、速やかに専門家にご相談いただく必要性が高いといえます。