業種 | 商社 |
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財務情報 | 年間売上約45億円 |
再生スキーム |
自主再建型。スポンサーなし
経営陣変更なし。
オーナーの株式に変更無し(減資等無し)
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負債総額 | 約60億円 |
再生計画上の免除内容 |
元金他93%を免除
将来利息・損害金:全額免除(利息等の支払も免除)
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配当額 | 元金他7%相当額 |
配当方法 | 10年間(年1回 計10回) |
合理化が図りやすい
商社は「机とパソコンと電話があればできる」といっても過言ではありません。すなわち、企業のスリム化が図りやすく、大胆な経営改革を図り、黒字を確保し、再生計画の実行が可能になるという特徴があります。
キャッシュフローの改善が図れる
商社や卸売業の場合、1ヶ月分の支払いを一旦棚上げにすることで、高額のキャッシュフローが生まれることがあります。
粉飾への対応
民事再生を行う場合、経営者の方からよく「先生、すんまへん。私、粉飾してました」「粉飾なんかしてると、民事再生は無理なんと違いますか」との告白を受けます。商社の場合、回収不能の債権を資産に計上したままになっている場合などが見受けられます。もちろん、粉飾決算は問題のあることで、債権者の理解を得られないこともありえます。
しかし、粉飾決算があることから再生計画が頓挫するわけでは決してありません。むしろ、粉飾を処理することで繰越損が発生し、民事再生可決の際に発生する免除益への対策ができることもあるのです。
ここがポイント
・競争力の維持
商社や卸売りは、競合他社との競争の激しい業種です。そのため、民事再生が開始されると競合他社が商圏の拡大を狙ってきます。民事再生直後から営業担当に十分説明を行い、給与の支払いが保障されていることなどを理解してもらい、活発な営業活動を展開してもらう必要があります。
・金融機関とのハードネゴシエイト
商社や卸売りの場合、元々粗利が大きくなく、本業の大幅な黒字化は難しいことがあります。そのため、再生計画による配当率も低くなりやすいといえます。したがって、弁護士が金融機関との間で配当率をめぐり厳しい交渉を行う必要があります。