業種 | コンピューターソフト開発製作業 |
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従業員数 | 約30名 |
負債額 | 約2億5000万 |
債権者数 | 約65名 |
業績の悪化
大口注文主から、発注した仕事の中止や内容の変更などを強いられたり、納品物に対するクレームを言われたり等したために、売上が大幅に落ち込んだことから、従業員に対する給与の遅配が生じる前に廃業することを決心した。
処理の内容
依頼者の会社と代表者が破産した。会社の資産が大幅に減少する前の段階で相談にこられたことから、大口取引先からの多額の売掛金が残っているなどの事情があり、時期と方法を適切に選択すれば従業員の保護を図れる状況であった。
そこで、当事務所の指導の下、売掛金の回収・確保を行った上で、廃業と同時に受任通知を発送して窓口となり、廃業当日に全従業員に対する説明及び未払給与・解雇予告手当全額の支払を行った。
また、同業者に対して、業務に使用していた機器を売却すると共に、プロジェクトの一部を事実上引き継いで、ほぼ全員の従業員を再雇用してもらうことができた。
ポイント
未だ会社に資金的余裕のある早期の段階において相談に来ていただいたことから、従業員にできるだけ負担が生じないようなタイミングを計り、効果的に手続を進めることができた。事前に入念に準備を進めておいて、廃業後直ちに当事務所が全ての窓口となったため、多数いた従業員に対する対応も適切且つ混乱の生じることなく終了することができた。
その結果、従業員に対しては、給与の未払も発生せず、解雇予告も全額支払うことができた他、労働者健康安全機構の立替払い精度を利用することで、退職金の一部についても従業員取得させることができた。
また、債権者にも適切な説明を行い、特段混乱もなく手続を進めることができた。さらに、事業を事実上引き継いでくれる先に適切に仕事を引き継いだ結果、従業員の多くが再雇用されることができるようになり、雇用を守ることもできた。
親族への直近の返済行為など、問題とされることの避けられない事情もあったが、これらについては、事前に十分な聞き取りを行い、申立時に十分な理論武装をして適切な説明を尽くすことで、管財人との良好な関係を築き、最終的には不問となった。代表者は引き続き自宅に居住し、生活環境を変えることなく手続を終了させることができた。