現在(2022年11月)、ウクライナ戦争や円安の影響で、急激な物価上昇が社会的問題になっています。
特に、原油価格の上昇は社会に与える影響は著しく、ガソリンを使用する運輸業はもちろんのこと、原料に石油を使用しているプラスティック関連業種の倒産が増加しております。また、物価上昇に伴う原価の上昇があった場合、中小企業としては販売先である大手企業に対して、代金の値上げを依頼するのですが、なかなか認めてもらえないこともあり、資金繰りが急激に悪化している中小企業が増えています。
そのため今般増加してる会社の破産は「物価高破産」といわれることもあるようです。
企業の資金繰りの悪化に対しては、金融機関に対して元金の支払い猶予を依頼するリスケジュールにより、資金繰りを保ちつつ、何とか事業の再生を行う手法がありうるところです。この方法は企業の事業収支そのものが黒字の場合は、非常に有効な方法となります。また、金融機関も事業収支そのものが黒字なら、利払いを受けながら元本返済を猶予する内容のリスケには応じやすいといえます。
しかし、上述のような原価上昇を販売代金に転嫁できず事業そのものが赤字になってしまった場合、リスケジュールによる効果は限定的であると言わざるを得ません。
また、物価高倒産の場合、営業赤字が続いた結果、一気に会社資金を流出させてしまった結果、破産手続を行うに際しても、人件費の支払いができない、破産費用の捻出ができないという事案が多いように思います。
万が一、破産の申立てをするにしても、せめて労働者への人件費の支払いはしておきたいところですので、原料高による営業赤字が続く場合、事業存続について早期に検討する必要があると思われます。