倒産事件では,企業信用調査会社などから,破産の申立代理人弁護士に対して,債務額や倒産に至った原因などの問い合わせを受けることがあります。
申立をする弁護士も割と回答を行っているように思われます。もっとも,筆者(弁護士高山)は,そのような調査会社が債権者でない限り,回答はお断りさせていただいております。
というのも,依頼者である破産申立予定の会社や代表者からすれば,債務額や倒産に至った原因を裁判所,破産管財人,または債権者以外の第三者に開示するメリットがない。むしろ,債務額などの情報は,代理人弁護士が職務をする上で知りえた依頼者情報であって,守秘義務が及ぶ可能性があると考えるからです。
また,破産申立の準備に入ると,債権者や取引先からの問い合わせの電話が多数あり,これらへの対応が必要な状態で,事件と直接関係のない調査会社の電話に逐一対応する時間的余裕もないというのも理由となります。
他方,大型であったり特殊な倒産事件で,債権者の全体像の把握が難しい場合や,債権者のみならず社会に対しても説明をする必要があるようなケースでは,取材に応じることもありえます。