プラスチック容器メーカーである和田工業株式会社は平成26年2月12日に東京地裁へ自己破産を申請し,同日破産手続き開始決定を受けていました。
破産後も,裁判所の許可を得て,営業を続けた結果,事業継続の見込みが立ったため,破産管財人弁護士が民事再生の申し立てを行い,本年5月15日,民事再生開始決定を受けました。
民事再生を申し立てたものの,破産に移行するというケースはしばしば見受けられますが,破産を申し立てたものの,民事再生に移行するというのは極めてレアなケースといえます。
まず,破産という手続きは,会社を清算させる手続きですので,原則として営業を継続しません。
営業のランニングコストの捻出が十分に可能であることを条件に,営業を廃止してしまうと社会的な影響が大きい場合など裁判所が営業継続を許可することがありますが,例外的な場合です。
また,営業が継続されても,いわば清算のためのソフトランディングを目指した営業継続ですので,破産後の営業により事業を立て直し,民事再生に漕ぎ着けたという事例は,過去にはほとんどないと思われます。
従業員の熱意,取引先の厚い協力,管財人弁護士の資質の高さ,といった数字には表れない偶然が重ならなければありえない事例であると考えます。