運送業の破産の特徴について弁護士が解説

はじめに

新型コロナウイルス感染症によるライフスタイルの変化から、通信販売が増加し、輸送貨物は増加する傾向にあるようです。
しかし、運転手の不足や原油高のため、コストも増加しております。また、運送会社の多くは大手企業の下請けであるため、価格の上乗せ交渉が難しく、十分な利益を確保できないという声も頻繁に耳にするところです。
そのため運輸業の破産事件は増加傾向にあるようです。

運輸業の破産の特徴

車両の確保

運輸業に用いられている車両はリース車両であることが多いといえます。
そのため、運輸業者が破産準備に入った場合、車両の保有者であるリース会社に車両を返還しなければなりません。
また、リース物件ではなく、自社所有の車両である場合でも、破産管財人が就任するまでの間、車両を保管、処分することが必要になります。
しかし、運輸業の場合、従業員やドライバーに未払いがあると、車両を返してもらえないなどのトラブルが発生することがあります。
さらに、車両を管理するとしても、通常、ガレージは賃借物件であることが多いため、管理に別途費用がかかることがしばしばあります。
そこで、リース物件の場合は弁護士が日程調整、立会いの上、早期に返還してしまいます。
自社所有の場合は、早期に売却してしまうのが良いでしょう。この場合、後日管財人から「安価に処分したのではないか」と懸念されることがありますが、車両は概ね相場がありますので、相場にしたがって売却すれば実際に問題となることは少ないでしょう。

商事留置権の問題

破産する運輸業者が下請業者を用いていた場合、運送中の貨物について商事留置権を主張される場合があります。
運送中の貨物は運輸業者のものではないため、この留置権の主張は必ずしも正しいものではありません。しかし、配送途中で貨物が止まってしまうと顧客から損害賠償請求を受け、月末に支払ってもらえるはずの運送料の支払を留保される可能性があります。
そのため、運送中の貨物について、配送を完了させてもらい、運送料の支払を確実にするため、下請業者である運輸業者に運送料を支払うことも検討に値します。
ただ、下請業者である運輸業者への支払は破産法上の問題を含むので、慎重な判断が必要です。

解決事例

事案の概要

業種 運送業
従業員数 0名
負債額 約2億
債権者数 約40名

業績の悪化

 売上の減少から経営状態が悪化し、複数の金融機関その他からの借入でまかなっていたが、一部の債権者から仮差押、訴訟提起、担保権の実行等の実力行使を受けたことから、事業を継続できなくなった。
 その後、運送に使用していた車両を別業者に譲渡し、事実上会社を休眠状態としていたが、代表者個人への複数の債権者からの請求を受け、破産申立に至った。

処理の内容

 会社と代表者が破産した。既に事実上の廃業状態となってから期間が経過していたので、廃業当時及びその後の資産状況、車両その他の資産の譲渡の状況を調査した上で、申立の際にできるだけ詳細に報告を行った。また、廃業の前後に協力してくれた知人の業者との間で、不透明な資金等のやりとりが認められたことから、これらについても調査した上で、できるだけ詳細に報告を行った。
 代表者については、自宅を知人の会社に買い取ってもらって賃貸してもらうことで、自宅に住み続けられるようにできたことから、その経緯を詳しく管財人に報告し、疑義の生じないように手続を進めた。
 さらに、前妻との離婚時に名義移転した資産があり、否認対象行為として返還を求められる恐れがあったことから、名義移転の経緯とその使途(必要な支出に費消されたこと)を資料と共に報告することで、最終的に問題なしとの判断を得られた。

解決のポイント

既に事実上の廃業状態となって期間が経過している事案であったため、管財人に疑義をもたれないよう、詳細な報告をすることを心がけた。弁護士の専門的意見に基づかずに既に行われてしまった過去の行為については、事後的に詳細を調査し、できる限り理論武装した上で、丁寧な報告を行うことで、最終的に管財人の理解を得られることができた。

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