製造業の破産の特徴

 今般の燃料高原料高の問題から、製造業の破産が増加しております。製造業の破産の特徴は製造設備が工場内に残っていること従事する従業員が多数在籍していること在庫品や原材料が残っているという特徴があります。

 破産の準備にあたっては、工場内にある製造設備を適切に処理すること、従業員の退職の手続を万全に行うこと、原材料や在庫の処理が必要になります。

➀製造設備の取り扱い

 破産にあたって製造設備の取り扱いは設備の所有権が破産する会社にある場合は、適切な価格で販売してゆくことになります。他方、所有権が会社にない、リース品などの場合は、リース会社に返還していくことになります。

 老朽化したリース品の場合、リース会社は所有権を放棄するとして、引取りを拒むことがありますが、廃棄費用が負担となるような場合は、リース会社に所有権放棄を認めず、あくまで引取りをするよう交渉します。

②従業員への対応

 破産準備に入る場合、従業員は原則として全員解雇になります。従業員には破産予定は当日まで伝えることができませんので、従業員の中には突然の解雇に驚き、狼狽する方がおられます。また、多くは今後の生活を心配されます。

 そこで、次の手配、手続きを行います。

 まず、解雇日までのお給料と、おおよそ1か月分のお給料に相当する解雇予告手当を支払います。私の経験では、これらの支払がなされると多くの従業員さんは、「破産なら仕方がない」とある程度納得いただけることが多いといえます。

 失業保険の手続きを準備しておき、失業保険を速やかに受給できるように手配しておきます。

 また、健康保険の切り替えについて案内を行います。突然、従業員に保険証の返還を求めるのですから、皆さん不安な気持ちになるので、健康保険の切り替えはなるべく早く行う必要があります。

③在庫、原材料の取り扱い

 会社が製造を完了している在庫については、取引先になるべく定価で販売を行います。もっとも、取引先にも過剰な在庫をかかえるリスクがありますので、ある程度のディスカウントはやむ得ない場合があります。

 他方、原材料の仕入元は債権者になります。破産準備に入ったことを聞きつけた仕入元が納品した原材料を返還して欲しいと申し入れてくることがありますが、これに応じることはできません。

 ただし、食品などで腐敗する可能性があったり、開封していることで市場性が失われているような場合は、例外的に返還することがありますが、その場合も他の債権者の誤解を招きますので、基本的には返還をお断りすることになります。

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