預けた荷物は出庫可能か

質問

 私が経営している会社が民事再生の申し立てをした場合,荷物を預かってもらっている倉庫業者との関係はどうなりますか?倉庫料の不払いを理由に荷物の出庫を拒まれてしまうと,配送の遅れにつながり,お客さんに迷惑がかかるのではないかと心配です。
 

回答

 民事再生法の申請を行った場合,原則としてすべての債権(税金や労働債権などを除く)について支払いを停止した上で,大幅な免除を求めることになります。
 そのため,倉庫業者への支払いを行うことができなくなり,倉庫業者から,預けている荷物の出庫を拒まれることがあります。
 
 倉庫業者の出庫拒否は商事留置権という正当な権利に基づくものですので,無条件ではこれに対抗することはできません。
 しかし,運送業者にとって配送の遅れは事業継続に重大な問題を生じさせることになるので,速やかな対応を行い,出庫を認めてもらうことが必要となります。特に,民事再生法の適用を申請したとなると,顧客は今後の事業継続に不安を持っているところですので,なおさら運営の正常性をアピールする必要があります。
そこで,そのような場合,倉庫業者と交渉を行い,預けている商品の時価相当額を支払う内容の合意を行うことで,出庫を認めてもらうことがありえます。
 
 速やかな合意のためには,民事再生の申立前に,どこの倉庫にどのような商品が預けられ,その時価は幾らくらいかを把握し,申立と同時に倉庫業者との交渉を開始する必要があります。
 また,倉庫業者と合意を行うには,裁判所が任命した監督委員の同意が必要となりますが,監督委員が事情を把握し同意を行うまでのタイムラグについても極力削減する必要がありますので,事前に十分な説明を行って,直ちに同意を発令してもらえるよう準備しておくべきです。
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