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質問
私は40歳のころ勤務していた運送会社を独立し,現在では従業員14名,トラック14台を抱える運送会社を経営しています。昨年までの売上は約1億5千万円です。2カ月前,お得意先の食品会社が倒産してしまい,未収が発生してしまいました。売上は1億4千万円程度の水準まで回復し,少しくらいの黒字は出せるのですが,来月末の銀行への支払いと下請け業者への支払いの見込みがたちません。
回答
御社の場合,若干でも黒字が出せるのですから,破産してしまうのは惜しい事案です。そこで,会社を存続させるには,①リスケジュールか②民事再生という方法を検討しましょう。
①リスケジュール
リスケジュールは,銀行や取引先と交渉し,月額の支払い額を減額してもらう手続きです。特に現在は中小企業金融円滑化法という法律が平成25年3月末まで施行されており,銀行はリスケジュールに応じることが多くなりました。御社の場合でも,銀行との交渉によって,たとえば毎月の支払額を半分程度にしてもらうということが考えられます。
ただし,リスケジュールの場合,金融機関は負債そのもののカットには応じないことがほとんどですので,企業再建の抜本的解決にならないことがあります。また,燃料代などの買掛金については個別交渉がまとまらないと手形不渡になってしまうおそれがあります。
②民事再生
民事再生は,裁判所の関与の下,債務の8割から9割の免除を目指す手続きです。免除後の負債を最大10年で返済すれば負債はなくなるので,会社の抜本的な再建に向いた手続きです。また,買掛金などの支払いや手形債務についても裁判所の決定に従って棚上げできるのが長所です。一般的には民事再生を行った場合,倒産による風評被害がありうるのですが,御社のような運送業の場合,一般消費者向けの商売をしているわけではないので風評被害は少ないと考えています。
もっとも,民事再生の場合,裁判所に納める費用がそれなりに高額となること(一般的に500万円以上)などの問題があります。