金融円滑化法終了後の中小企業の事業再生のため、平成25年12月に「特定調停スキーム」の運用が開始されています。
特定調停といえば,「個人の多重債務者のための手続きとして一昔前に使われていたが,最近は…」といった印象が弁護士の中でも強いと思われますが,今般,企業再生の手法としても利用されています。
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民事再生などの場合,仕入れ代金などの債務についても債務免除の対象となることから,信用不安が発生したり,納品を拒まれることが問題でしたが,特定調停であれば金融機関のみを相手に債権カットを求めることが考えられます。
また同スキームに基づき策定された再建計画により,照会内容に記載した手順で債権放棄が行われた場合,
①債権者においては,債権放棄額を損金算入することが可能なこと
➁債務者においては,債務免除益等の範囲内で期限切れ欠損金を損金算入することが可能なこと
上記①➁が明確になっているため,非常に有効な手法ではないかと注目しています。
確かに,特定調停の場合,全金融債権者の同意が,実質的には必要となりますが,他方,合理的な再生計画を出せば,裁判所から17条決定を得ることができるのがメリットです。金融機関がこれに抗うには,積極的に異議を出す必要があるから,金融機関の同意にも期待ができます。