売上が大幅に減少したり、予定していた売掛金が入金されなかったり、会社の資金繰りが悪化しても、支払いは毎月発生します。
その中でも、従業員の給与は遅れるわけにはいきません。給与は従業員からすれば生活資金であり、遅配が発生すると、経営者と従業員の信頼関係は急速に失われてしまいます。
また、従業員の生活環境や価値観は様々であり、経営者が「もう少し辛抱すれば、好転する」と信じて頑張っても、それに従業員が付き合ってくれるとは限らず、給与遅配の状況下では離職が相次ぐなどの問題が発生したり、労基署からの是正指導への対応に追われたりと、経営どころではなくなってしまいます。
そのため、給与の支払いが苦しい場合、特に当月の給与の支払いのめどが立たない場合は、事業の存続は困難になることが多く、破産を検討すべき状況にあるといえます。
また、後述のように破産の準備に入れば、従業員には失業保険などの給付がなされるので、大きな混乱なく手続きが進むことも多いのです。
破産にあたっては、従業員はすべて会社都合による解雇となりますので、原則として解雇日までの給与と、給与の30日分に相当する解雇予告手当、すなわち最大2か月分程度の賃金を支払うことになります。
これらの資金が準備できない場合には、買掛金や金融機関への返済を止めて、給与等の支払を行うことも検討していただいきます。
また、それでもなお資金が足りない場合、従業員には速やかに離職票を発行し、失業保険によって生活を維持してもらいます。また、破産申立てよって、支払われなかった賃金の8割程度は労働者健康安全機構による立替払いが受けられることなどを弁護士から説明しご納得をいただくこともあります。