税金の支払いや厚生年金保険料の支払いは、ついつい後回しになりがちな支払いです。特に、厚生年金保険料と健康保険料は、会社の人件費の約25%程度にも及ぶことがあり、会社にとって負担の重たいもので、滞納しておられる会社もしばしばみられることころです。
しかし、税金や社会保険料は、買掛金などの他の債権と違い、裁判手続を経ずに差押が可能である点、注意が必要です。
借入金や買掛金を仮に支払わなかった場合、通常であれば裁判所から訴状が届きますので、債務者は債権者の「本気度」を推し量ることができます。極論すれば、債権者からの督促は無視しても、また、訴状が来ても裁判所への呼出期日までに何らかの対応をすればよいわけです。
しかし、税金や社会保険料は予め督促は来ますが、それを無視すると差押手続に簡単に移行されてしまいます。また、買掛金などの一般の債権の差押は、債権者が裁判所に申立てをして、裁判所から差押命令を発令をしてもらうので、それなりに手間と時間がかかりますが、税金や社会保険料の差押は裁判所を介さず、迅速に行うことが可能です。
また、税務署などは、会社がどこに売掛金を持っているか、預貯金を持っているか、税務申告書から把握しておりますので、的確に差押えが可能で、差押を受けてしまっては、銀行取引が止まってしまったり、売掛金の入金がなくなってしまったりで、予期せぬ資金ショートを招きます。
したがって、税務署や年金事務所から督促については、会社を今後どうするかに関わる問題ですので、専門家の弁護士にご相談いただく必要があるといえます。
会社を存続させるのであれば、滞納分の支払い方法について年金事務所と協議をする必要があり、協議の仕方についてアドバイスが可能です。
他方、会社を破産させるのであれば、その旨の連絡をいつ行うか、などについて、弁護士の意見をお聞きいただくことをお勧めします。